Q8 ブロック積み擁壁の支持力計算における有効載荷幅について
| 右城先生の著書は数冊あり、非常に実際に即した内容、かつ間違いやすい要点や起こりうる勘違いなどの計算例がとても役立っています。 現在、先生著「新・擁壁の設計法と計算例」「続・擁壁の設計法と計算例」等を参考に斜面にブロック積を建造する安定計算を計算しています。 先生著「新・擁壁の設計法と計算例」を参考にしてブロック積み擁壁を計算すると,B=0.6m,d=0.7mとなり,合力の作用位置が底版から後ろへ外れます.偏心量はe=B/2-d=-0.4m,有効幅はB'=B-2e=1.40mとなり,底版幅Bよりも大きくなってしまいます. 有効載荷幅が何を意図するかよく理解できませんが、底版幅より大きいのは現実に則さないような気がします。絶対値を用いてe=0.4mとすると、B'=-0.2mとなり,これも現実的でないような気がします。 ブロック積み擁壁の場合,合力の作用位置dがミドルサードに入らないことはもちろん、底版から外れることがよくあります.「続・擁壁の設計法と計算例」p160の日本道路公団の斜面上の支持力公式を適用して支持力を照査しようとしています。 上記「有効載荷幅」の考え方についてアドバイス願います。お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いいたします。 |
回答
(1) 地盤反力分布について
ブロック積み擁壁などのもたれ式擁壁では,地盤反力が底面と壁面に発生します.このため,荷重(自重W+主働土圧PA)の合力Rが底面の核から後方へ外れても底面の地盤反力は台形分布となります.
擁壁高H=5m,壁幅b=0.5mのブロック積み擁壁について,壁面勾配を1:0.3,1:0.5,1:0.8,1:1.0の各Typeについて計算した結果を図1に示しています.1:0.3の場合には荷重の偏心eが正で小さいため壁面に地盤反力は発生していません.ところが壁面の傾斜角大きくなり,荷重の偏心量eが負の方向へ増加するにしたがって,壁面の広範囲に地盤反力が発生します.
もたれ式擁壁では,壁面の地盤反力を無視して計算することはできません.また,荷重の偏心と,底面の地盤反力の偏心量とは異なるものであるという点についても留意すべきです.
なお,もたれ式擁壁の計算は,拙著「続・擁壁の設計法と計算例」pp132-135に記述してある地盤係数法で計算することができます.

図1 壁面の傾斜角と地盤反力分布
(2)有効載荷幅の考え方について
荷重が偏心し,図2(a)に示すようにつま先の地盤反力が大きくなるような場合には,つま先付近からかかとの方に向かって地盤が降伏し,最終的にはB'の区間が完全に降伏すると考えられます.こうしたことから,B'を有効載荷幅として支持力を計算する方法がマイヤー・ホフによって提案され,道路橋示方書等で採用されています.
ところで,図2(b)のように荷重が後方へ偏心する場合,マイヤー・ホフの理論をそのまま適用すると,破線で示したすべり面を考えることになりますが,このようなせん断破壊を生じることは考えられません.荷重が後方へ偏心するとき地盤の破壊メカニズムがどのようになるかはわかりませんが,図2(b)の実線のように考えるのが妥当と思われます.したがって,有効載荷幅としてはBを取ればよいと思われます.

図2 有効載荷幅