Q66 フローティング置き換え基礎の圧密沈下
| 続・擁壁の設計法と計算例の著書に関する質問をさしてください。 フローティング置き換え基礎により支持された基礎底面の圧密沈下および2次圧密沈下は、発生しないものと考えられるのでしょうか? 施工管理上、通常双曲線法などを用いて情報化施工により沈下管理すると思いますが、フローティング置き換え基礎のように理論付けされている場合の上げ越し量は、経験値により判断してもいいのでしょうか? |
回答
フローティング置き換え基礎の支持力に関して,続・擁壁の設計法と計算例では,地盤のせん断破壊に対する照査法のみ記述しており,圧密沈下に対しては全く触れていませんが,圧密沈下が問題となる場合は当然それに対する検討や対策が必要です。
埋め立てや造成の場合,圧密時の排水条件は一次元的と見なすことができますが,フローティング置き換え基礎においては二次元あるいは三次元的となるため,沈下量や沈下時間の予測は非常に難しく,解析的に精度の高い予測を期待するのは無理と思われます。したがって,大きな沈下量が予測される場合は,擁壁の場合であれば嵩上げ盛土構造にするなど,沈下に対応できる構造形式を選定することが重要と思われます。嵩上げ盛土高を決定するには,観測施工で測定された沈下データから将来の沈下量を予測し,それに基づいて決定するのが最善の策でしょう。隣接した地点で施工データが得られている場合には,そのデータを基に沈下量を予測することも当然考えられます。このような方法による予測値は,理論計算に比べて,はるかに信頼性が高いといえます。
また,軟弱地盤での盛土では,擁壁を含む盛土と地盤の全体破壊や側方移動も考えられますので,情報化施工を行い,地盤に破壊や側方移動を予知し,問題が大きくなる前に対策を施すことが大事でしょう。
Q67 逆L型擁壁の設計法
| Excelによる擁壁設計を購入しているのですが,その付属ソフトで逆L型擁壁の設計はできないでしょうか。 |
回答
逆T型擁壁1は,安定計算時の土圧佐用面を仮想背面と仮定しているため,かかと版のない擁壁には適用できません。しかし,逆T型擁壁2のソフトで,かかと版の長さを0とすれば計算可能です。もたれ式擁壁のソフトでも計算可能です。
ただし,逆T型擁壁2やもたれ式擁壁のソフトでは安定計算はできますが,応力計算はできません。今後,逆T型擁壁1を逆L型擁壁にも対応できるように拡張します。
Q68 逆T型擁壁1と逆T型擁壁2の違いは
| Excelによる擁壁設計の付属ソフトに,逆T型擁壁1と逆T型擁壁2がありますが,どのように違うのでしょうか。 |
回答
逆T型擁壁1と逆T型擁壁2のソフトの適用条件を整理すれば,次のようになります。
将来的には,逆T型擁壁2のソフトを逆T型擁壁1と同様に,嵩上げ盛土や応力計算などの機能を持つように拡張する予定です。
| ソフトの種類 | 逆T型擁壁1 | 逆T型擁壁2 | |
| 土圧計算法 | 試行くさび法 | 改良試行くさび法 | 改良試行くさび法 |
| かかと版の長さ | 十分長い | 十分長い | 任意の長さ |
| 仮想背面での土圧傾斜角 (壁面摩擦角) |
仮定した地表面に平行 |
理論的に算出 | 理論的に算出 |
| 盛土形状 | 一様勾配 嵩上げ盛土(H0≧0) |
一様勾配 嵩上げ盛土(H0≧0) |
一様勾配(H0=0) |
| 盛土の条件 | φ>0 ,c≧0 | φ>0 ,c≧0 | φ>0 ,c=0 |
| 地震時の計算 | 考慮 | 考慮 | 考慮 |
| 自動車衝突荷重 | 考慮 | 考慮 | 考慮 |
| 応力計算 | 対応している | 対応している | 対応していない |
試行くさび法(道路土工−擁壁工指針)では,土圧計算にかかと版の長さが考慮されていないのですが,改良試行くさび法ではかかと版の長さが影響します。
逆T型擁壁1は,かかと版が十分長く,すべり面がたて壁に当たらないという前提のもとにプログラミングしています。これに対して,逆T型擁壁2では,かかと版が長い場合も短い場合も計算可能となっています。
下図に,かかと版の短い逆T型擁壁を逆T型擁壁1と逆T型擁壁2のソフトで計算した結果を示しています。逆T型擁壁1ではすべり面がたて壁を突き抜けています。このような場合は,逆T型擁壁1は使用できません。土圧は正しく求められていません。
逆T型擁壁2では,すべり面がたて壁に当たって反射したように描かれます。塑性理論に基づいた土圧が正しく求められていることを示しています。実際,かかと版の短い擁壁で模型実験やFEM解析を行うと,このようなすべり面が確認されます。


Q69 背面にも勾配が付いた落石防護擁壁の設計法
| 先生の著書「擁壁Q&A選集」の質問4.28 落石衝突荷重を考慮した重力式擁壁の設計法について質問をさせていただきます。 この項目でご検討されている擁壁の断面は、全て背面(落石が衝突する面)が鉛直で、前面に勾配の付いた台形となっておりますが、一般的な重力式擁壁の断面として、前面が鉛直で背面に勾配が付いている台形断面で、背面に落石が衝突した場合の計算はできないものなのでしょうか。 先生のご提案された剛体力学に基づいた計算方法なら、支障はないのでしょうか。 ちなみに、落石対策便覧では、背面が鉛直の場合を基本条件としているようですが、いかがなものでしょうか。 |
回答
落石対策便覧では,背面が鉛直の場合のみに対して定式化されていますが,私の提案式では,任意形状の擁壁に対応できるようにしています。また,落石の衝突位置も,任意に設定することができます。
ただし,現在Excelで開発しているソフトに関しては,擁壁前面,背面とも一様勾配の重力式擁壁を対象にしています。ソフトを少し改良すれば,つま先版やかかと版を有する擁壁へ拡張させることも可能です。
下図に,私の理論で作成したソフトの入力画面を紹介します。落石は,落石防護柵または擁壁の任意位置に衝突させることが可能です。


Q70 擁壁の安全率について
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陸上道路護岸の設計では安全率 Fs≧1.5 (常時) Fs≧1.2 (地震時)であるが、Fs=1.49 又はFs=1.499 のように |
回答
拙著は,全ての擁壁を対象にしている訳ではなく,旧建設省管轄の道路擁壁の設計法に関して,私の考え方(国土交通省の考えではない)を述べたものです。建築関係や港湾施設関係の擁壁についてしは全く触れていないことをまずご理解下さい。
擁壁の安全率が,設計基準で規定された安全率を下回った場合,それがどの程度であればよいか,という質問に明確に回答するのは困難です。ただし,この質問の主旨が,設計基準を満たす擁壁を設計するという立場であれば,規定値以上の安全率を確保する必要がります。わずかでも下回ることは許されません。
安全率は本来,設計荷重のばらつきや材料強度のばらつき,解析時のモデル化や解析方法に伴う誤差をカバーするために設けられていますが,ばらつきや解析誤差を特定することはできませんので,安全率が正確にいくらであれば良いかという議論は成り立ちません。設計をする上でのルールと解釈すべきでしょう。
貴方の質問は,港湾施設における擁壁の滑動の安全率に関するご質問でしょうか。どの基準の何に対する安全率について質問されているのかがわかりませんので具体的な回答はしかねます。
安全率は,構造物の重要性や作用する荷重のばらつきなど多くの要因を考慮し,経験工学的に決められています。道路擁壁の場合であれば,主たる荷重は土圧です。港湾構造物では,これらの荷重も作用しますが,主たる荷重は浮力や残留水圧になります。
土圧は,裏込め土の土質定数(γ,φ,c)に影響されるので,精度よく予測すること困難です。しかし,浮力や残留水圧は,設計水位が特定できれば正確に求めることができます。したがって,道路擁壁に比べて港湾施設擁壁の安全率を小さく設定しているとしても,作用する荷重の信頼性が異なるので,港湾施設擁壁の安全性が低いとは一概にいえません。
Q71 擁壁背面の盛土勾配が折れ曲がっている場合の土圧計算法
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重力式擁壁の背面が平坦地の後、法面になっている場合は試行くさび法ではどのように計算すればよいのですか? 計算式等を教えていただきたいのですが? |
回答
図1のような盛土を有する場合,壁面に作用する土圧Pは式(1)で求めることができます。ただし,
P :主働土圧合力 (kN/m)
φ :裏込め土のせん断抵抗角 (度)
δ :壁面摩擦角(度)
α :壁面が鉛直となす角(度)
W :土塊の重量で,土塊上の載荷重を含む (kN/m)
です。
式(1)でωを逐次変化させて計算し,Pの最大値を探索すれば,それが主働土圧合力PAとなります.このように,数値計算によって試行錯誤的にPの最大値を探索する方法を試行くさび法(Trial
Wedge Method)と呼んでいます.
計算するωの刻みを小さくするほど正解に近い値が得られるが,設計では1度刻み程度で十分です.また,闇雲に主働すべり角を探索するのではなく,45゚+φ/2付近でωを変化させて計算すれば素早く主働土圧を求めることができます.
土塊の重量Wはすべり面と地表面の交点fがbc間に現れる場合(ω>ω1),cd間に現れる場合(ω2≦ω≦ω1),de間に現れる場合(ω<ω2)の各々について計算し,Pの最大値を探索する必要があります.
ω1,ω2は式(2),式(3)で求められます.また,土塊の重量(載荷重を含む)は,式(4)〜式(6)で計算できます.

以上の方法で作成したプログラムは下記からダウンロードできます。
Q72 ボックスカルバートの支持力計算
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ボックスカルバートの支持力を計算する際,盛土を地盤への有効根入れ深さDfを見なして極限支持力度を算定することができるでしょうか。
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回答
盛土施工前は,図1のような状態ですので地盤の根入れ効果を考慮することができません。
盛土施工後は,図2のようになり,ボックスカルバートの底面地盤反力よりも側方の押さえ荷重Df・γ2が大きくなります。このため,図1のように支持力計算で仮定しているすべり面は発生しません。したがって,盛土施工後に地盤のせん断破壊が問題になることはないので,支持力の照査は不要です。
ただし,地盤が軟弱な場合は圧密沈下等による沈下が考えられます。このため,沈下に対する検討が必要になります。
