Q3 地震時土圧計算に粘着力を考慮できる根拠は

 地震時土圧計算に粘着力を考慮する根拠は,右城博士の書物にも述べられており理解できますが,個々の現場においては裏込め土の締固めの程度に差が生じます.確実に c=0.1Hの粘着力を有するか疑問に感じております.この点に関して実験値等の資料があれば,教えて下さい.

回答
 拙著「擁壁Q&A選集」理工図書p37〜p39に記載している「質問3.10主働土圧の計算に粘着力を見込めないのか」の回答をご覧ください.高知県内各地の道路盛土部から試料を採取してきて三軸UU試験を行った結果についても紹介しています.

Q4 大型ブロック積み擁壁の解析用ソフトについて

 大型積み擁壁設計・施工マニュアルに準じた解析ソフトは開発されていますか。

回答
 拙著「Excelによる擁壁設計」(理工図書)付属CD-ROMに内蔵されている「もたれ式擁壁」がありますのでご利用下さい

Q5 大型ブロック積み擁壁設計・施工マニュアル(土木学会四国支部)の採用実積について

 大型ブロック積み擁壁設計・施工マニュアル(土木学会四国支部)を設計基準として採用している官庁があれば教えて下さい。

回答
 ブロック積み擁壁の安定性を照査する実用的設計法として,地盤反力の算定までキチッとできるものは,現時点では,大型ブロック積み擁壁設計・施工マニュアルの方法しかないと思っています.実用的設計法がなかったので本マニュアルを作成しました.
 日本各地で本マニュアルが利用されていると聞いていますが,具体的な状況は把握していません.コンクリート二次製品メーカーの方がよくご存じなのでないでしょうか.
 建設省四国地方建設省では,これまで本線の盛土部擁壁に大型ブロックを使用することはありませんでした.ところが,1998年の高知豪雨の際に国道32号が崩壊しました.通行止めの期間中,高知自動車道南国IC−大豊IC間を無料開放すれば,1日につき300万円の通行料金が徴収できなくなるため復旧を急ぐ必要があるということで,小生の提案を受け入れ大型ブロックが採用されました.設計は大型ブロック積み擁壁設計・施工マニュアルに準拠しました.1999年も豪雨で国道32号が崩壊したのですが,このときは建設省の方から大型ブロック積み擁壁を採用せよとの指示がありました.
 現在,土佐国道工事事務所で所内用の設計基準の見直し作業を行っています.これには,大型ブロック積み擁壁に関する基準を新たに記述する予定です.
 高知県では,技術関係通達集を発刊していますが,平成8年より大型ブロックの標準設計を取り入れています.設計は小生の理論に基づいており,基本的にはマニュアルと同じです.

Q6 ブロック積み擁壁ともたれ式擁壁の区分について

 道路土工擁壁工指針の改定(H11)に伴い,大型ブロック積み擁壁に関する規定が新たに追加されましたが, ブロック積みに準じた構造と考える場合ともたれ式擁壁に準じた構造と考える場合との区分が明確にされていません.  通常のブロック積みと同様に安定計算なしでの運用ができる場合と,もたれ式擁壁と同様に安定計算を行って断面決定する場合の,いずれかを選択する必要があるのですがその区分について知りたい。

回答
 「ブロック積み擁壁とは,プレキャストコンクリートブロックを積み重ねて構築したもたれ式擁壁」,「もたれ式擁壁(狭義の)とは,現場打ちコンクリートで施工されたもたれ式擁壁」,「もたれ式擁壁(広義の)とは,擁壁自体では自立できず背面土にもたれかかって初めて安定できる擁壁」と定義されます.
 両者の違いは,接合部があるかないかだけです.したがって,外的安定性の照査(剛体としての転倒,滑動,支持力の照査)においては,ブロック積み擁壁ももたれ式擁壁も何ら変わらないはずです.内的安定性(応力度の照査,あるいは内部の安定性照査)の照査法は異なります.
 もたれ式擁壁は,接合部がない(コンクリート打継ぎ面が適切に処置されている場合)ので,コンクリートの曲げ応力度とせん断応力度の照査をすればよいのですが,応力度に余裕があることから一般には極端な断面変化がない限り照査を省略しています.空積みブロック積み擁壁の場合には,接合部の強度が期待できないため接合面毎に安定性の照査が必要でしょう.中詰めコンクリートや胴込めコンクリートで接合面の強度が期待できる場合は,接合部の曲げ応力度,せん断応力度の照査を行えばよいといえます.接合面のコンクリートの強度のみでは耐荷力が不足する場合には,鉄筋等による補強が必要になります.
 問題は,ブロック積み擁壁やもたれ式擁壁の設計法が確立されていないことにあります.道路土工擁壁工指針では,高さ8m以下のブロック積み擁壁の標準的な断面を定めていますが,経験に基づいて決められたものですので,その安定性を力学的観点から議論することはできません.擁壁工指針で提案しているもたれ式擁壁の安定計算とブロック積み擁壁の標準断面が整合していないため,混乱を招いています.

Q&Aコーナー