Q23 空石積みの安定性照査法について法

 石積みの中の空積みについてですが、先生著「擁壁Q&A選集」の中の『ブロック積み擁壁の安定検討の方法』を、空石積みにそのまま使用して良いでしょうか。
 先生が前提としているのは裏込めにコンクリートを使用している場合だと思うので、仮に裏込めをしっかりとしてあるとしても、空積みの場合は練積みよりも一体性が無いのでこの場合はどんな安定検討を行えば良いのでしょうか?
 また、この安定検討をそのまま使用してよい場合には、安全率はここに書いてある数値と同じでよいのでしょうか?それともこれより大きな安全率を見込むべきなのでしょうか?

回答
 擁壁Q&A選集の中の「質問4.6ブロック積み擁壁の安定検討の方法」は,練積みを対象にしたものです.ブロック同士が胴込めコンクリートと裏込コンクリートで剛に結合されていることを前提にしています.剛に結合されているということは,壁背面の地盤反力などによって生じる曲げモーメントに対して,抵抗できるといういうことです.
 空石積みは下図のような形状をしており,擁壁全体を剛と見なすことはできないので,質問4.6は適用できません.「質問4.9ブロックを階段状に積み上げたときの安定計算法」を適用することも考えられますが,自然石は形状が複雑すぎて実際的とはいえません.  空積みの安定性を理論的に説明する方法はわかりませんが,経験的には示力線を用いた岡積の方法があります.岡積の方法については,「質問4.4示力線法とは」で記述しています.クーロンの主働土圧を2倍した土圧を石積に作用させて求められる示力線が,石積の断面中心より後方を通っていれば転倒に対して安全とします.

図1 石積み断面

 ただし,岡積の式(p94の式4.9)は,間知石を対象としていますので,自然石を用いる場合には,式中のγcの値として自然石の単位体積重量を用いるのではなく,空隙率を考慮した見掛けの単位体積重量を用いる必要があります.自然石の形状を楕円体と仮定すれば,楕円体と直方体の定積比から空隙率を求めることができるでしょう.
 p94で説明しているように,岡積の式では転倒の照査しかできません.地盤支持力や滑動に対する照査については,「質問4.6ブロック積み擁壁の安定検討の方法」を適用すればよいでしょう.滑動と支持力の安全率についてもブロック積み擁壁に準拠すればよいと思われます.  石積みはわが国のみならず世界的に古くからあり,その土留効果は経験的に立証されているものの,安定のメカニズムはわかっていません.しかし,耐震性に劣ることや施工が劣悪であったり,基礎が洗掘等で沈下すると容易に崩壊することは確かです.自然に優しい土留工法ではあるのですが,使用する場所や地盤条件には十分留意する必要があると思います.

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