Q218 ブロック積み擁壁の土圧計算における嵩上げ盛土高比の考え方

 土地改良事業標準設計図面集「擁壁工」利用の手引き P33に,ブロック積擁壁の場合,
「上載荷重がある場合は、上載荷重を盛土高に換算し、盛土荷重として扱い、さらにこの盛土荷重を等分布荷重に換算し、形状を決定する。ただし、このときかさ上げ盛土高比 (H0+H1)/H が1を越える場合は、これを1としてよい」とあります。
 この文面では、盛土H0だけでHを越える場合にはかさ上げ盛土高比を1とすることができないように読みとれてしまいます。なぜ上載荷重がある場合で(H0+H1)/Hが1を越える場合だけ1としてよいのでしょうか。
 私の読みとり方がおかしいのでしょうか、それとも式が一つしか記されていないが、本当は水路工のように、盛土と上載荷重の等分布換算は別々にしなくてはいけないということなのでしょうか。
 役所からの問い合わせに対して、どう答えてよいのか困っています。どうぞよろしくお願いします。

回答

  クーロンの土圧理論では,主働すべり面を直線と仮定して計算しています。しかし,この仮定が成り立つのは,@壁面が鉛直でかつな滑らか,A土の内部摩擦角が深さ方向に一定,の場合に限られます。実際には,壁面摩擦角があるし,内部摩擦角も上載圧の影響を受け,深さ方向に変化します。このため,実際の主働すべり面は図-218に示すように曲線になります。
 図-218(a)嵩上げ盛土が高いと場合にクーロン式を適用すると,実際のすべり面との誤差が大きくなり,土圧を過大に評価することになります。このため,道路土工指針では嵩上げ盛土高比H0/Hの上限を1.0として計算してもよい,としています。
 農林水産省構造改善局の技術基準は,道路土工指針の設計思想を適用しているものと考えられます。したがって,嵩上げ盛土高比の上限を1.0とできるのは,図-218(a)のような場合であり,図218(b)のように地表面が水平な場合には適用できないと思われます。地表載荷重が大きくて,換算盛土高さが擁壁高を超えたとしても,換算盛土高さの上限を設ける理論的根拠はないと思われます。
 

図−218 盛土形状と主働すべり面

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Q219 擁壁の根入れの考え方

 擁壁の根入れの考え方が,先生の著書「新・擁壁の設計法と計算例」にも参考として記載されています。高さ5m以下の重力式擁壁においても50cm根入れを確保するようになっておりますが、高さ1m位の擁壁においても50cmを確保するのが良いのでしょうか。
 高さが低い擁壁の場合、根入れを30cmか50cmにするかによって、安定計算の結果、断面形状(天端幅、壁面勾配)が変わる場合があります。
たかが1m程の擁壁に根入れを50cm確保するために断面を大きくする必要性はないと思います。また、擁壁全面が舗装等により覆われる場合は30cmを確保すれば十分に思われます。
 現在の土工指針においても擁壁全面に水路がある場合水路敷きから30cm確保するようになっております。
 そこで私が考えるに、擁壁高さが1m以下で前面地盤が舗装等により覆われる場合は,根入れは30cmとする。ただし、前面地盤が民地で将来において開発等により掘削される恐れがある場合は50cmとする。という考えかたではダメでしょうか。
将来舗装を修繕する場合においても、路盤までやりかえるケースがほとんどないことより、30cmあれば十分と思いますが。
 小さな内容ですが、結構悩んでいる人はいると思います。よろしくご回答お願います。

回答

 擁壁を地盤に根入れさせる理由は,支持力および滑動に対する安全性を確保するためです。擁壁からの荷重が小さくて,根入れをしなくても支持力や滑動の安定性が確保されるのであれば,根入れは必要ないということになります。
 擁壁底面位置での極限支持力度quは,次式で表されます。xはつま先からの距離です。
 qu=c・Nc+γ・Df・Nq+γ・Nγ・x
 つま先位置では,x=0であるので,極限支持力度は
 qu=c・Nc+γ・Df・Nqとなります。
 支持地盤が砂質土で,φ=30度,c=0,γ=20kN/m3と仮定すれば,支持力係数はNq=18.4(新・擁壁の設計法と計算例p105)であるため
 qu=368Df(kN/m2)となります。
 一方,擁壁のつま先における地盤反力度は,擁壁形式に関係なく経験的にqmax=40H(新・擁壁の設計法と計算例p106)であるため,支持力に対して安全であるためには
 368Df>40H すなわち 必要根入れ深さは Df>0.1H
となります。つまり,擁壁の根入れ深さの目安は,擁壁高さの1/10以上ということです。


    図219 地盤反力度と極限支持力度
 
以上の説明では,支持力に対して安全率を1.0としています。これは,qmax>quになったとしても,地盤が塑性化するだけであり,次式を満足しておれば地盤が破壊しないためです。

 以上の説明では,将来的な地盤の変動は加味されていません。地盤の変動が予想される場合には,さらに根入れが必要ということになります。

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Q220 杭基礎を設けたブロック積み擁壁の計算法

 下図の護岸について,もたれ式とブロック積(裏コン200)にて検討を行ったのですが、擁壁高7.00mの場合でもブロック積の示力線は堤内となり、しかも基礎コンクリートには、ブロック積の鉛直荷重に対して支持力上から必要な杭本数を決定しています。
この場合に安定条件の転倒、滑動、地盤支持が満足すれば7.00mの場合でもブロック積で決定して良いものか判断に迷っております。
このような場合の先生の御意見をお聞かせ頂きたく、メール致しました。

回答
 ご質問の内容から,直接基礎として安定計算を行い,鉛直力に対しては杭で支持させたということだと思われますが,杭基礎の場合は鉛直力だけでなく水平力も杭頭に作用するものとして照査するのが一般的です。
 ブロック積み擁壁やもたれ式擁壁の場合,壁背面に地盤反力が発生するため,杭頭に作用する水平力は,主働土圧より大きくなるので注意が必要です。また,杭には,水平力によって曲げモーメントが発生するため,杭体の応力照査も必要です。
 続・擁壁の設計法と計算例のp301〜308に矢板基礎ブロック張り護岸工の計算例を示しているので,それを参考にして下さい。


 Q221 張り出しの大きい法枠を弾性基礎上の梁として解析できるか

 アンカ−併用法枠を弾性基礎上の梁として解析しています。基礎地盤は均一な砂層N値10で,法枠のスパン割りは,1.5m(張り出し)+3.0m+3.0m+5.0m(張り出し)です。アンカ−は法枠の1列当たり3本(交点に打設)で,張力は100KN/本を計画しています。弾性基礎上の梁として解析しても問題ないでしょうか。

回答

 地盤を離散型バネ,法枠を弾性梁と見なし,弾性基礎上の梁として計算する以外に適当な計算法はないと思います。その場合,下記の点に留意する必要があります。
 @負の地盤反力が発生する場合には,その個所のバネは無効とする。
 A施工時にアンカーを逐次緊張するので,その施工課程を考慮して解析する。
 
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Q222 軟弱地盤に設ける擁壁の基礎工法

 田んぼの中に道路を通す設計をしているのですが、地盤が非常に悪く、ボ-リング調査の結果は以下の様になっています(深度は擁壁底版位置からです)。深度1m程度に、地下水もあります。
  1〜3mまでシルトでN=2、3〜5mまで粘土混じりの砂レキN=2
  5〜8mまで砂レキN=7、8m以上玉石混じり砂及びシルトN=50
 道路(総幅20m程度)の両側に、L型擁壁(H3000〜H4000)を設ける予定ですが、地盤反力が120kN/m2〜160kN/m2となるため、現状ではとても支持しきれません。
 先生の著書中にフロ−ティング方式置き換え基礎の考え方が記載されてますが、5m(N=7程度まで)もの置き換えは現実的でないとも思われます。
 この状態は、フロ-ティング方式に当てはめられないのではないでしょうか。
 杭については”あまり擁壁に杭は用いない方が良い”と言う文献を読んだ事もあり、気が進みません。あまりにも支持層が深すぎて、どの様に地盤改良を行ってよいのか検討が付かないのが、正直な所です。何か良い方法は無いでしょうか。

回答
 「擁壁には杭を用いない方が良い」という話ははじめて聞きました。擁壁に杭を用いた事例はたくさんあり,何が問題なのか理解できません。
 軟弱地盤対策としては,杭基礎工法,軽量盛土工法,連続ボックスカルバート工法,地盤改良工法などがありますが,L形擁壁に限定すれば杭基礎か地盤改良工法になると思います。経済性や施工性について比較検討して決定すべきでしょう。

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Q223 U形擁壁の地震時の照査

 U型擁壁の地震時の計算で、歩道下の中詰土荷重はどのように計算するのでしょうか?
@中詰土重量に慣性力を作用させ計算する。
A地震時土圧を作用させて計算する。
 このどちらかかと思いますが、どうなのでしょうか?両方やって不利な方を採用するのが一般的なのかもしれませんが断面計算は常時で決まっているので、あまり深く考えなくとも良いのでしょうか?
教えてください。

回答

 質問の意味を理解しかねますが,図−223のように照査をすれば良いと思います。


          図−223


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Q224 土圧計算におけるc,φ,δの考え方 

 裏込め土が粘性土の場合のせん断抵抗角(内部摩擦角)φ及び粘着力cの考え方を教えて頂けませんか?
道路との高低差があまり大きくない敷地において、擁壁の設計や既存擁壁の検討をする場合、裏込め土が良質なものではなく、粘性土の場合が多いものと考えられます。
 先生の著書には、「特に断らない限り裏込め土は砂質土(φ>0,c=0)を対象とする。」(『続・擁壁の設計法と計算例』p.23及び『新・擁壁の設計法と
計算例』p.45)という記載と、「粘性土(WL<50%)φ=25°、c=0kN/u(道路土工指針)」、(『続・擁壁の設計法と計算例』p.64及び『新・擁壁の設計法と計算例』p.80)の数値が記載されています。
 一方、日本建築学会の『建築基礎構造設計指針』(2001改定)p.37の表3.4.2に裏込め土の諸定数の参考値として、軟質な有機質シルトまたはシルト質粘土は、φ=0°、c=−(0kN/u)と記載があります。
 また、壁面摩擦角δについて、日本建築学会の『建築基礎構造設計指針』(2001改定)p.34には、「裏込めが粘性土の場合にはδ=0°とみなすのが普通であり、また砂質土の場合でも20°以下にとるのがよい。」と記載があります。
 以上のことから、裏込め土が粘性土の場合は、φ=0°、c=0kN/uを採用しているのですが、いかがでしょうか?
道路土工指針のφ=25°は、採用するには少し大きいのではないかと思われます。(道路土工指針に基づいて道路の擁壁を設計する場合は、この値を採用するものと考えますが、φ=25°の値が妥当なものかどうか私にはわかりません。)

回答
 (1)盛土材には原則として,良質な砂質土または礫質土を使用すべきです。また,粘性土であっても,排水条件でのせん断試験でははc=0になります。したがって,盛土部に作られる擁壁の土圧計算ではc=0として計算するのが一般的です。このため,拙著では,φ>0,c=0の土を対象に土圧理論の説明をしてあります。
(2)建築基礎構造設計指針の表3.4.2の値
 星埜他共訳「テルツァギー・ペック土質力学応用編」(丸善)では,土を5種類に分類し,主働土圧係数としてそれぞれ0.27,0.30,0.39,1.00,1.00の値が示されています。この土圧係数をランキン式に当てはめれば,土の内部摩擦角はそれぞれφ=35度,φ=30度,φ=24度,φ=0度,φ=0度になります。建築基礎構造設計指針の表3.4.2はこのようにして求められたφを示しているのだと思います。その場合,当然c=0となります。
(3)土圧計算に用いるφの値
 c=0でφ=0ということは,完全な液状ということになります。そのような土を擁壁の裏込材として使用し,締固めができるとは思えません。また,私自身,φ=0,c=0として計算された事例を見たことがありません。
 建築ことはよく分かりませんが,裏込め土に粘性土を用いる場合,φ=20〜25゜,c=0として計算するのが一般的でないでしょうか。宅地防災マニュアル事例集の中の擁壁設計例でも,φ=20〜25゜,c=0として計算してあります。

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Q225 コンクリートの曲げ強度について

 コンクリート構造物の設計照査では、「曲げ圧縮強度」で照査していますが、一般に「曲げ圧縮強度」は「圧縮強度」の1/3としていますが、実際に「圧縮強度」24N/mm2の躯体は、「曲げ圧縮強度」が8N/mm2なのでしょうか。
 先日、現場でコンクリート舗装があり、「設計の曲げ強度」は4.5N/mm2でしたが、その生コンを出荷している業者に「4.5N/mm2の曲げ強度のコンクリートの圧縮強度」を尋ねたところ、30〜36N/mm2はあるだろうと言っていました。
 つまり、通常「圧縮強度と曲げ圧縮の関係は1/7〜1/8であって、「1/3は過大」なのではないでしょうか。また、なぜ各基準書では1/3としているのでしょうか。

回答
 コンクリートの曲げ強度とは,下図に示すような曲げ強度試験によって求められた曲げ引っ張り強度を意味します。
 曲げ圧縮強度ではありません。曲げ圧縮強度には,圧縮強度試験の結果を用いています。
 


図−225曲げ強度試験


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Q226 矢板の最大曲げモーメントの発生深さLmが負になる原因

 矢板基礎の計算例に自分のケースを当てはめながら計算を進めていった結果、Lmの値がマイナスになり矢板の応力度がOUTになってしまいました。
Lmがマイナスってことはあり得るのでしょうか?
 また、根入れ長算出時の断面二次モーメントの継手効率は100%と考えなくてもいいのでしょうか?

回答

(1)Lmが負になる理由
 曲げモーメントが極大値(dMx/dx=0)を示すLmは無数に存在します。図226−1ではx=Lm,x=Lm'でMxは極大値を示しています。これは,図−2に示すようにx=tanyの逆関数 y=tan-1xの値は無数個存在するためです。Lm<0となることはあり得ませんので,Lm'が正しい解となります。Lm'は,

として計算する必要があります。



図226-1 矢板の曲げモーメント図

 図226-2 逆正接関数

(2)断面二次モーメントの継手効率
 ご指摘のように,断面二次モーメントの継手効率100%として計算すべきでした。

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Q227 落石対策便覧のワイヤーロープ掛工について

 落石対策の中でもワイヤーロープ掛工は比較的多く用いられる工法であると思いますが、アンカー(ボルト)に作用する荷重の考え方についてお教えいただければと思います。
 落石対策便覧p353〜357にはワイヤーロープ掛工の設計例が記載されており、ボルトに作用する荷重Td=(抑止力Ps/アンカー本数n)となっております。なお、この計算の前にはワイヤーロープの張力Tを算出します。
 一方、右城さんの著書「土木構造物 設計・施工の盲点」p102〜104の張力Tと荷重Pについての記述をみますとT=Pと考える必要があります。
これをワイヤーロープ掛工の設計に当てはめるとボルトに作用する荷重Tb=張力Tとすべきであり、単純に抑止力をボルトの本数で除する便覧の計算と整合しません。
 個人的には単純にボルト本数で除した値でも問題ないとは思うのですが、ご助言をいただければ幸いです。

回答
 落石対策便覧の考えに力学的矛盾はありません。ただし,下記の2点に留意する必要があります。
 @落石と斜面の摩擦力を無視している。
 Aボルトの打設方向は,斜面に垂直な方向としている(ロープの方向ではない)。
 
 抑止力Ps=Wtanα
 1本当たりのワイヤーロープ張力T=Ps/(2nsinθ)
 ボルト引張力 Tb=Ps/(2n)=Ps/N
落石対策便覧ではT=Ps/(2ncosθ)となっていますが,これはT=Ps/(2nsinθ)の誤りで,このことは正誤表で訂正されています。
落石対策便覧正誤表
 

          図227

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Q228 φが小さいと支持力が求められない理由は

 既設の大型ブロックの安定状況を確認するために、「ブロック積み擁壁」のソフトを用いて、支持地盤に関する条件のc=114kN/m2、φ=0°と入力計算したところ、イレギュラーが発生しました。
 そこで、φを15°以上とすると、イレギュラーは解除されます。また、すべり面の形状もそれらしく表示されます。
 内部摩擦角を考慮しない方向で計算を進めたいのですが、それは上界法を用いて支持力や地盤反力を算出する上で理に反することなのでしょうか。
その説明と支持地盤に関する条件φ=0°で計算するための対処方法を教えて頂きたいのですが、宜しくお願いします。

回答

(1)上界法を用いた支持力の定式化

 鉛直荷重pV,水平荷重pHが作用し,地盤が極限平衡状態になったときのすべり面は,図228−1のようになります。
 すべり面をこのように仮定すれば,上界定理を用いてpVの算出式を下記のように求めることができます。

受働土圧の場合と同様に,ωを変化させpVの最小値を探索すれば,それが求める支持力度になります。

  図228−1 支持力の説明

(2)φが小さいと支持力が求められない理由
 図228−2はモール・クーロンの破壊基準です。
 この関係より,破壊基準を満たすためには,次式を満足する内部摩擦角が必要になります。


    図228−2 モール・クーロンの破壊基準

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Q229 直接基礎の回転角

 日経コンストラクション2003 7-11号の p69「 土はなぜ崩れるのか」の記事のpage71で基礎の回転角θを
θ=q1/(3dKv)
として算定されていますが,この式では鉛直変位が算出されるだけではないでしょうか。

回答
 フーチングに作用する鉛直力Vは,フーチングの核外(偏心量e>B/6)であり,フーチングは剛体的に変位するとすれば,つま先位置での鉛直変位δ1は式(1)で表されます。ただし,dはつま先から鉛直荷重の作用位置までの距離,θは基礎の回転角です。
 地盤は離散型のバネで,鉛直地盤反力係数をkvとすれば,つま先位置での鉛直地盤反力度は式(2)で求められます。
 式(1)と式(2)より,フーチングの回転角θは式(3)となります。

図229 基礎の変位と地盤反力

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Q230 二段擁壁の土圧計算法

 先生の御著書「Excelによる擁壁設計」を勉強して、早急に仕事に対応しようとしましたが、やはり地道に勉強しないと応用がききません。そこで新たに「新・擁壁の設計法と計算例」で勉強中(?)です。
 質問は140ページの2段擁壁で 図5.10の(d)図のケースの設計法は ” W=W1+W2+W3+q・b として一般的な重力式擁壁と同様に計算できる。” とありますが具体的な方法がわかりません。ご教示宜しくお願いします。

回答

 すべり面(ai)が上段擁壁のかかと(h点)より後方を通過する場合,下段擁壁に作用する土圧合力Pは式(1)で,式中のWは式(2)で計算できまます。なお,W1,W2,W3はそれぞれ下記のように計算できます。ただし,γは土の単位体積重量,γcはコンクリートの単位体積重量です。
W1=土塊abcdeの面積×γ
W2=擁壁fdhgの面積×γc
W3=土塊gheiの面積×γ
 ω1度刻み程度で変化させて計算し,Pの最大値を見つければ,それが求める主働土圧合力になります。


Q231 自動車衝突時における安全率

自動車衝突荷重時における擁壁安定計算に用いる安全率の考え方について教えて下 さい。

回答
 道路土工−擁壁工指針では,擁壁の設計に自動車衝突荷重を考慮することになっていますが,その場合の安全率については明記されていません。
 「防護柵の設置基準」に関する講習会講義要旨(日本道路協会,平成10年)では,転倒,滑動,支持力のいずれに対しても安全率1.2以上としています。
 自動車衝突時の安全率として,地震時安全率を採用するという考えもありますが,私は,下記の理由より,防護柵設置基準に準拠すればよいと考えています。
@衝突荷重の作用時間は0.1s以下であり,非常に短い。
A設計衝突荷重としては,防護柵支柱の降伏荷重が採用されており,設計衝突荷重以上の荷重が作用する恐れがない。

Q232 土圧算定に用いる壁面摩擦角

 私は現在、海岸業務を主としたコンサルにおりますが、実は土木の構造に関しては全くの素人でありまして、必要にせまられ独学で少しずつ勉強を始めた者です。
 そこで、土圧の算定のところで(クーロン)壁面摩擦角(δ,±15°)というものがでてきますが、これがどういうものなのかどうしても理解できません。
誠に基本的なことでお恥ずかしい限りですが、かみ砕いて簡略にご教示頂けましたら幸甚です。
ご多忙の折り、恐縮ではありますが何卒宜しくお願い申し上げます。

回答

 主働状態では、くさび土塊がすべり面に沿って下方に移動し、受働状態では、くさび土塊がすべり面に沿って上方へ移動します。このため壁面摩擦は主働状態では上向きに、受働状態では下向きに作用します。
 壁面摩擦角δの値は、設計基準によって経験的な値が定められており、港湾構造物では15度が用いられています。主働土圧の計算ではδ=+15度、受働土圧の計算ではδ=−15度を使用する、ということです。

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Q233 片土圧タイプ自由勾配側溝の計算法

 自由勾配側溝の片土圧タイプの安定計算について、滑動、転倒、支持力の照査方法をお教え下さい。

回答

 片土圧タイプ自由勾配側溝に作用する荷重としては、自重W1、かかと版上の土砂W2,仮想背面に作用する主働土圧Pが考えられます。これらの荷重による地盤反力は下図のようになります。
 接地面の図心位置を0とし,この図心位置に作用する荷重をV=W1+W2,H=P,M=W1×xw1+W2×xw2+P×yp,接地面の面積をA=b1+b3,図心を通るY軸に関する接地面の断面2次モーメントをIyとすると,鉛直地盤反力は式(1),式(2)で,水平地盤反力は式(3)で求めることができます。
 安定性は下記の方法で判定することができます。
(1)転倒
 地盤反力が下図のような台形分布,つまりqv4>0であれば転倒に対して安全
(2)滑動
 安全率 Fs=V×μ/H>1.5なら安全
(3)支持力
 最大地盤反力度qv1<許容支持力度 なら安全

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Q234 二段積擁壁の土圧計算

質問(1)
 続・擁壁の設計法と計算例のP240の表7.3.3のPのところで、答えが4.29とありますが、エクセルでやっても手計算でやってもP=4.09となります。ほかのPの値も手計算とエクセルでやった答えとちがってしまいます。どのような計算方法でやっているのか教えてください。
 表7.3.2ではエクセルと手計算でやっても一致しました。
質問(2)
 二段擁壁で上段擁壁-間知ブロック(1:0.3)下段擁壁-間知ブロック(1:0.4)の場合で検討しているのですか、下段擁壁の壁面摩擦角α2=-21.8°となります。下段擁壁の土圧でW2の計算をするときに答えがマイナスででてくるところがあります。自重がマイナスで出てくることはあるのでしょうか?α2の考え方とこの場合どうしたらよいのか教えてください。会社の上司に質問しても解答が出てきません。どうか教授、お忙しいと思いますが解答お願いします。

回答
質問(1)について
 拙著(初版の重力単位版)について再度計算し直した結果を下表に示します。
 W2の計算が間違っていました。W2=(Df×λ+1/2×0.2×Df^2)γとして計算し直しました。式中の0.2は上段擁壁の前面勾配です。
 しかし,ご質問のような結果にはなりません。再度,各列の値を確認してみて下さい。

表7.3.3の再計算結果


質問(2)について
 W2が負になることはありません。W2は下図の着色した部分の面積に土の単位体積重量を掛けた値であり,ξの値により異なりますが,ξ>λの範囲では,W2は一定になることに注意して下さい。



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Q235 許容支持力度おおよび重力式擁壁のつま先版の応力度の計算法

質問(1)
 道路土工−擁壁指針では,最大地盤反力度を算出し許容支持力度と比較することで支持力に対する照査をしていますが,許容支持力度はどのようにして算出すればよいのでしょうか。道路橋示方書に示されている極限支持力から求めることができるのでしょうか。N値や土質区分は分かるのですが、それ以外の情報は特にありません。
質問(2)
  重力式擁壁のつま先の応力度の照査についてですが、つま先の照査の場合、曲げモーメント(M)とせん断力(S)のみで軸力(N)はかからない(無視される?)と私は考えているのですが、そうするとσ1、σ2=N/B・H±6・M/B・H2(確かこのような式だったと思いますが)についてσ2<0となると思います。そうすると仮に|σ2|<許容引張応力度だった場合照査するσ1=N/3b(h/2-e)<σcaの式の算出方法がわかりません。

回答
質問(1)について
(1)許容支持力度の算出方法
 許容支持力度の算出方法には,道路橋示方書式などの支持力公式による方法と地盤の土質やN値から経験的に算出する方法があります。
(2)支持力公式から算出する方法 
 地盤の許容支持力度qaは,式(1)の道路橋示方書式で求めることができます。qdは極限支持力度,Fsは安全率です。その他の記号は道路橋示方書を参照して下さい。

 この式を適用するには地盤のc,φを調べる必要があります。c,φを算定する方法には下記の方法があります。
 @三軸圧縮試験等の土質試験によって求める。
 A標準貫入試験のN値から経験式(道路橋示方書下部構造編p564参照)を用いてφを推定する。ただし,適用できるのはc=0の砂質土に限られる。
 B平板載荷試験結果より,c,φを推定する。

(3)経験的に求める方法
 道路土工−擁壁工指針p21の表1-6に支持地盤の許容支持力度が示されています。以前には,これと同じ表が道路橋示方書にも掲載されていましたが現在では削除されています。
 式(1)から明らかなように支持力は,地盤の粘着力c,内部摩擦角φ,土の単位体積重量γ,側方の上載荷重q,基礎幅Be,荷重の傾斜角,支持層への根入れ深さなどの影響を受けます。地盤の土質とN値から経験的に求められる支持力には,基礎幅,荷重の傾斜角,上載荷重などが反映されておらず,どのような条件に適合できるのか不明という問題があります。表1−6のような表を使用することは,非科学的であり,技術の発展を阻害するという批判がありますが,不適当なc,φを用いて支持力公式で支持力を決めるよりも,表1−6で支持力を求める方が信頼性があるという意見もあります。

質問(2)について
 ご質問の式は,曲げモーメントと軸力を考慮した応力度の算定式です。つま先版付け根の断面力では,軸力として水平地盤反力が作用しますが,一般には安全側考えて軸力は無視します。軸力がゼロであると偏心量eは無限大になります。
 軸力を無視した応力度の算定式は次式で計算できます。

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Q236 ブロック積みの裏込材

新潟県の標準設計ではブロック積み背面の地盤が良質なら等厚、良質でなければ不等厚(基礎側を厚くする)となっています。
道路土工でも背後地盤が切土なら等厚、盛土なら不等厚となっているのですが理由については掲載されていません。
これの理由を御存知でしたら教えて下さい。

回答
 裏込材の施工には,@排水により浸透水圧を軽減させる,Aφの大きい材料を入れることにより土圧を軽減させる,B擁壁が背後にもたれかかって沈下するのを防止する,という目的があると思われます。このため,適切な裏込材の厚さは,浸透流量,擁壁の壁厚,地盤反力の程度,盛土材の種類等によって決定すべきと思われますが,解析的に検討された例は見たことがありません。多分経験的に決めているのだと思われます。


Q237 極限支持力と極限支持力度の違い

道路橋示方書下部構編で、基礎底面の地盤の極限支持力Qu(p269)と、極限支持力度qd(p301)と似たような言葉が出てきますが、それらの違いについて教えてください

回答

 下図に示すように地盤が破壊する寸前の極限状態において基礎底面に作用する鉛直荷重Quを極限支持力,そのときの荷重強度(単位面積当たりの極限荷重)を極限支持力度と呼びます。受働土圧合力が極限支持力に,受働土圧が極限支持力度に相当します。
 道路橋示方書では,極限支持力度を下記に示す式(2)を求め,それに基礎の有効載荷面積Aeを乗じたものを極限支持力とし,式(1)が示されていますが,これは間違っていると思われます。
 式(2)は基礎幅Beの一次関数になっているので,極限状態における荷重分布は下図に示すような台形分布になります。したがって,これを積分した式(7)が極限支持力Quとなるはずです。


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