Q20 L型擁壁のコーナー部の設計法
| L型擁壁(裏込め土表面は水平)のコーナー部が 1)有限長(上から見ると正方形,かかと版も正方形)の場合 2)無限長(コーナー部の後ろに直線部が続く)の場合 のそれぞれについて, @ 仮想背面はどのように考えるべきでしょうか. A 安定計算は擁壁が有限長の場合,斜め(コーナー角の2等分線上)に滑動する場合を考える のでしょうか? B応力度の照査で土圧力の作用位置はどこにとればよいのでしょうか?無限直線部(平面ひずみ)に比べ,断面を小さくできるような気がします。 C コーナーの角度が直角でない場合はどう考えたらよいのでしょうか? 無限直線部(平面ひずみ)の設計と比べ変わるところをご教示頂ければ幸いです。 |
回答
コーナー部の応力は複雑になると思われますが,安全側と計算の簡便性を考え,平面ひずみ状態と見なした設計法について説明させていただきます.
(1) 有限長(コーナー部擁壁が独立している場合)の計算法
a)土圧の考え方
有限長の場合とは,図-1のようにコーナー部の擁壁abdcが目地によって独立構造になっている場合と解釈されます.

図1有限長コーナー擁壁平面図
擁壁が土圧によって直方向に変位する場合は,通常のL型擁壁として計算できますので,図-1(b)のように擁壁がコーナー方向に変位する場合について説明させていただきます.
図-(b)のsec1, sec2, sec3の各断面で主働すべり面を描けば図-2となります.主働すべり面は,かかと位置から前方と後方と2種類発生します.sec1での土圧はランキン土圧(β=0)となります.sec3ではかかと版がないのでクーロン土圧になります.sec2はかかと版が短かく前方すべり面が竪壁に当るためランキンと圧とクーロン土圧の中間的な土圧になります.このため,主働すべり角および主働土圧は各断面で異なってきますが,実務上は全てランキン土圧と見なしても差し支えないと思われます.

図-2 擁壁がコーナー方向へ変位する場合の主働すべり面
そうしますと,図-1(b)のab面およびac面に作用する主働土圧合力PAは式(1)で表されることになります.
式1

b)安定計
安定計算は,図-3のようにabdcの擁壁の重量Wとac,ab面に作用する主働土圧合力PAの荷重が作用するものとして計算できます.
滑動の安全率はFs=Wμ/PAとして計算できますが,転倒に対しては図-3(b)に示す核内に荷重の合力が入ることを照査する必要があります.また,地盤反力度の算定においてもcb軸に対する断面2次モーメントを用いて計算する必要があります.したがって,d点に大きな地盤反力が発生することになるので注意が必要です.

図-3 安定計算
c)応力度の照査
竪壁の応力度は,一般部の擁壁と同様,壁面にクーロンの土圧(壁面傾斜角および壁面摩擦角を考慮)の水平成分を作用させ,それによる曲げモーメントとせん断力を求めて計算することができます.
底版の応力度は,図-4に示すabdの範囲に作用する地盤反力の合力Qと作用位置fを求め,M=Qfの曲げモーメントをbd'区間(bの長さ)で受けもつものとして応力計算をすればよいでしょう.

図-4 底版の応力度の照査
式(2)

ここに,Vは底面に作用する鉛直力,Mは底面図心位置でのZ軸回りのモーメント,Aは底面積,Izは,図-5に示すZ軸に関する断面2次モーメント,xは図心からのx方向の距離です.核の算定については,構造力学の教科書を参考にしてください.

図-5 コーナーの角度が直角でない場合
(2) 無限長の場合
無限長というのは,図-6のような形状を意味しているのだと思われます.この場合は,通常の擁壁同様に単位長さ当りで計算すればよく,コーナー部を意識した照査は不要と思われます.

図-6